―ところで、もうすでに大分打ち解けていらっしゃるお2人ですが、最初に実際お会いしたときの印象はどうでしたか?
羽:私は少し心配だったんです。どんな方か、噂が全然流れてこないので、分からなくて。まったく想像がつかなくて、もし怖い人だったらどうしようと思ったら、初対面ではやっぱり厳しいという印象だったんです。あんまり、しゃべってくれないし、動かないし。
―シャフトさんにうかがって、社内見学をかねての顔合わせでしたね。
羽:でも、その後で晩ごはんに行ったら、たくさんお酒を飲んで酔っていらして、急に怖くなくなって、あれあれ~?って思って、すごい面白かったです(笑)。チェイサーのウーロン茶が全然減っていなくて、氷が溶けるスピードにさえ負けているという(笑)。さっきまでシャフトさんにいた人と違う!って思いました。
新:会社にいるときは緊張していたんですよ。こちらとしては、読んでいてすごいなと思っていた漫画の作者に会ったわけで。僕もそんなに社交的ではないので(笑)。相当、人見知りなんです。だから、対談とかを飲みながらしかやらないのは、ああいうところじゃないとしゃべれないんですよ。酔わないと饒舌にならない。
羽:饒舌になっても、話したことをみんな忘れていっちゃうことを途中で知り、それも面白かったです。全て忘れている!って思って。
―掟上今日子さんより記憶がもってないじゃないですか(笑)。
新:そうですね(笑)。
羽:寝る前の段階で忘れている、飲んだら忘れる探偵でした(笑)。
―でも、あの場でお2人がとても意気投合されていたのを、よく覚えています。お互いに、この仕事に就かれる前に共通して読まれていた内田善美先生のことなど。
新:少女漫画の話をたくさんしましたね。
羽:河あきら先生も。
―ごはんの話が出ましたが、『3月のライオン』では、料理や食事のシーンも人気です。こちらがアニメだと、どうなるのかも期待している方が多いと思います。
羽:新房さんはご飯を土鍋で炊く挑戦をしてみたり、焦げ付かないフライパンのことを、熱く語って下さったりしました (笑)。
―とある焦げ付かないフライパンを注文したから届くのが楽しみと、以前おっしゃっていましたね。
新:あれはダメでした。使ったら焦げ付き放題で、捨てることにしました。今はそれじゃない、南部鉄器のフライパンを買いました。21センチの。もう南部鉄器ですよ、今は。
羽:あんなに焦げ付かないフライパンを推していたのに(笑)。
新:卵型の南部鉄も買いました。これをお湯を沸かすときに入れると、鉄分が摂れるというのを。慣れるまではちょっと鉄臭いですけど。これから南部鉄器の時代がやってきますよ。
―新房監督のそれだけ料理にこだわってらっしゃるところは、このアニメにも大いに生かしていただきたいです!
新:季刊エスにコラムのコーナーを持っているんですけど、このあいだなんてアニメとか漫画の話は一切なくて土鍋の話ばかりをしていましたから(笑)。笑ったのが、僕はある料亭に行ったときに、土鍋で作った料理を食べてハマったんだけど、この前、長井龍雪さんもその店に行ったら土鍋にハマったらしいという情報を偶然別の方から聞いたんです。
羽:『ライオン』のスミス(三角龍雪)の下の名前は長井監督からもらったんですよ。
新:あっ、そうなんですか!?
羽:『ハチクロ』の2期のアニメの監督をやっていただいて、すごいきれいなお名前だなあと思って、使わせていただきました。
新:いい名前ですよね。そんな彼も今は土鍋にドハマりだそうですよ!
羽:私もいつかその店に行って、土鍋にハマってみます! その店に行って、土鍋人間として生きていきます!
新:そこの料亭のご飯があまりにも美味くて、なんだこりゃあ!?ってなっていたら、土鍋で炊いておりますって女将に言われてね。