3月のライオン

Interview9 対局場面に関して

―キャラクターのこともうかがわせて下さい。新房監督がアニメにするにあたって、とくに楽しみな登場人物はいますか?
:零くんは主人公だからもちろん、彼がこれから戦う棋士の面々にも、それぞれ深いドラマがありますからね、楽しみでもあり緊張するのはその人達です。

▲棋士達の深いドラマも必見です!

―アニメにするにあたって、対局のシーンもどうなるのか、気になります。
:難しいと思うのは、アニメだったらハッタリで、駒を指した瞬間にバーンと煙が舞ったり、盤上の駒全部が輝き出したりとか、やりたいんですけど、(『3月のライオン』は)そうじゃない世界なのが、どうしようかなというところですね。やりたいところだけど、さすがに違うでしょ、と。人対人なので、指してバーン!とかやるよりも、それよりは指した後の相手の表情だったり、今作はそういう表現の方法を考えなければいけないのかなという気がするんですよね。
:最初、将棋を描こうと思ったときに、『ゲームセンターあらし』みたいに、逆さに飛んで歯で指すくらいの感じをやりたいとも思っていたのに、設定を組み上げていったら、そう描くところがなくなって、ふざけられなくなってしまったのが、もったいなかったんです。本当はものすごく技の名前を叫んだりとかしたかったんですけど、調べれば調べるほどやっちゃいけないと分かってきて、ちょっと残念でした。
: (対局では)逆にアニメ的に出来るような派手さはないということですかね。そこを無理矢理アニメ的な演出にしようとは、自分は思わなかったです。将棋のシーンはすごく地味に見えてしまうかもしれません。
:私も、地味なところを描き切れて、かっこいいと感じてもらえたら、私の勝ちだと思ったものの、『ゲームセンターあらし』が出来なくなって、すごくしょんぼりしてしまいました(笑)。

―アニメが『ゲームセンターあらし』チックになることもなく(笑)。
:きっと、たんたんと(笑)。
:それやったら大顰蹙だよね(笑)。

―でも、お聞かせいただいて、ここにも新房監督がアニメにされるにあたってのこだわりを感じました。
:キャラクターは似ているけど、世界観が似てないというアニメも結構、多いと思うんですけど、『3月のライオン』は世界観を合わせたいと思います。

▲原作に忠実ならぬ誠実なアニメ化!

―世界観というのは、どこに宿ってくるものなのでしょうか。
:色々な微妙なところでしょうね。
:大事なものには端々にしか置けないものもあって、一つ一つ丹念に置いていくしかないんですよね。
:シャフト的に言うと、それは挑戦ですね。今まで、そういった世界観の作り方はあまりやっていないので。
:私がお願いしたいと思ったのに、よく考えたらシャフトさんの魅力を縛るところもある原作で、そこはしまった!ってなりました。スカートなびかないし(笑)。
:いや、それは分からないですよ! なびくと思います(笑)。

―誰のスカートがなびきますかね? あかりさんですか? 香子ですか?
:香子はなびきますね。そりゃ川沿いだと、なびきますよね(笑)。

Interview10 注目のキャラ・香子

:そういえば、僕は香子と零の関係は分かりきってないんですよ。分かりやすく読み切れないのが、実は香子。読んでいても、零と香子の関係は想像はするけど、でも言い切ってないから、自分の想像だけかもしれないので分からないなという、すごく神秘的なんですよ。それでいうと、実は自分の中で(『物語シリーズ』)の羽川と一番近いのは香子なんです。
:香子はものすごい零に甘えているので。老倉さんの中の阿良々木くんのくんのような。
:昔でいうと、『あしたのジョー』の矢吹丈に対する白木葉子ですね。すごく複雑な、一言じゃとても言えないような関係です。
:私はとても桐山くんと香子の関係は、好きなんですよ。あまりに照れくさくて、何があったのかは、まだはっきりとは漫画には出していないですけど。
:色々あるんだろうなと、想像する感じがやっぱりいいんじゃないかと思っていましたが、まだ意図的に出していないんですね。
:零くんがやっぱり、どこかですごく香子を好きなのに、緊張し続けているので、彼から見ると近づけない人なんだろうなあと思っています。同じお家にいちゃいけなかったんだろうと。
:香子が冬に外に出されて怒っているところとか、近寄りがたいように見えるじゃないですか。あの場面で彼女の立ち位置が、決定づけられたような気がします。
:仁王立ちで立っていて、寒いよりも怒っているのが先に立っちゃうので、寒くないし心も折れないしっていうところですね。

▲香子はアニメでもキーパーソン

:あれは神々しさすら、ありますよね。
:ああいう女の子が一緒に住んでいると、桐山くんも難しかったと思う。太刀打ちできなくて。絡まれても乗るわけにはいかないし。
:だって同じ次元にいないですよね。香子は同じ次元で会話したいかもしれないんだけど、零からすると、それは無理ですよね。

―確かに、香子は1話目の1コマ目に出てくるキーパーソンですよね。彼女がどうアニメで描かれるのかも、キャスティング含めて注目ですね。
:彼女はキャストに頼るところも、大きいかもしれません。
アニプレックス・制作 淀:神秘的な演技の出来る人がいいですね。傷ついていても、神々しさがあって、強くて、でも、その裏の弱さも表現できる方。

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