―ところで、スタッフの方々の続報も今回ありましたが、『ライオン』に携わっていただく方々の人選は、久保田さんが決められたのですか。
久:だいたいのところは新房さんと僕と現場のプロデューサーの岩城忠雄とで、決めていった感じですかね。
―『3月のライオン』の原作読者にご紹介がてら、スタッフの方々のこれまでのキャリアをうかがえますでしょうか。
久:キャラクターデザインで総作画監督は杉山延寛くんです。彼はご存知の方もいるかもしれないですけど、『荒川アンダー ザ ブリッジ』や『ニセコイ』など、非常に特徴的な絵を、上手くアニメーションに落とし込んだ技術や経験値があります。彼ならいけるんじゃないかということで、描いてもらうことになりました。
―羽海野さんをして、自分が描いた絵かと思いましたというクオリティです。
久:原作の絵を昇華するのがすごく上手いですね。そこに、名倉靖博さんに、美術設定という形で今回は入ってもらいまして。名倉さんのキャリアとしては『とんがり帽子のメモル』や『楽しいムーミン一家』が有名ですよね。最近のところでは『メカクシティアクターズ』の絵本部分をやってもらったりとか。独特の世界観を、キャラクターデザインにしても設定にしても持っている方です。今回は設定ということで、本人も新しい役職になりますが、すごく楽しくやっていただいているような感じで、そこのところはほっとしています。原画にしても設定にしても、すごく緻密な絵を描いていただけるので、どこかで多分見せていく機会もあるはずですが、非常に良いポジションをセッティングできたなと思っています。それから、美術監督では田村せいきさんにも入っていただいていて、田村さんもすごいキャリアのある方で、世界観が原作の絵とシンクロしているような背景を描いていただいているんで、皆さん楽しみに想像をいっぱいしていただければと思います。
友:原作の絵は一色だからねぇ。これがカラーになった時どうなるのかなあっていうのはやっぱりみんなすごい興味があると思うよ。
―読者読者の期待にも応えてくださる方々を選んでいただいたんですね。
久:やっぱり原作の世界観を、設定部分ではどういう風に作っていくかということを新房さんも大事にしているので、そこにすごくドンピシャな人達を持って来られたのではと思います。
―演出面では、岡田堅二朗さんに携わっていただくことも発表になりました。
久:彼は『〈物語〉シリーズ』などで、コンテ演出をメインにやってもらっていましたが、今回はシリーズディレクターという形でピックアップさせてもらいました。新房さんとのタッグのキャリアも長くありましたので、共通言語というかテクニカルな部分での理解、意思疎通が出来ているという意味でも、今回このポジションで活躍してくれると思います。
―あと音楽では、橋本由香利さんにご参加いただきますね。
久:橋本さんは新房さんからのリクエストでしたね。シャフト作品では『さよなら絶望先生』『ささみさん@がんばらない』などを手がけていただいています。すごく青春劇に合ったものを出してくれるんではないかということで、新房さんから希望があったかと思います。
―アニプレックスさんで、このアニメに関わって下さるスタッフの方々もうかがわせて下さい。アニメの公式ツイッターの中の人はどなた?という問い合わせもありまして。
太田:公式ツイッターなど、『3月のライオン』のアニメの宣伝をやらせていただいております、太田今日子です。はい。頑張ります!『3月のライオン』の企画の話がちらっと出た瞬間に「なんだってーっ!? 絶対やりたい!!」 と思って、ずーっと狙っていました、虎視眈々と、はい(笑)。
―太田さんはこれまで『ニセコイ』や『傷物語』のアニメの宣伝でも辣腕を大いに発揮され、新房監督の信頼も大変厚い方です!
岩:(『3月のライオン』のアニメに携わっている)アニプレックス制作Pの淀明子にしても宣伝Pの太田にしても、シャフトチームっていう感じで、ずっと一緒にやらせていただいているので。
久:そうですね。おなじみのメンバーで心強いですね。
―そこに宣伝では鎌田優子さん、制作では高橋学さんなど、新しくチームに加わって下さった方々もいて、さらに心強いです。
鎌田:私はグループ会社の音楽の方にいたんですけど、今年の3月にアニプレックスに異動になりまして、新参も新参なのですが、アニメはやりたかったので、『3月のライオン』に携われて光栄でございます。
岩:結構うちの宣伝部は希望制なんです。やってみたいって手を挙げるのが重要で。
―そういう方々がアニメに携わって下さるのは、本当に原作側の立場としても、原作読者の人達も嬉しいことですね。ところで、アニメを進めるにあたって原作サイドからオーダーみたいなものは、これまでありましたか。
友:したかな?
久:一つももらってない気がします。
岩:最大のオーダーが、シャフトと新房監督にやって欲しいっていうことで。
―確かに、それが最初にして最大でしたね。
友:そう。それで、羽海野さんが『化物語』みたいにして下さいって言って、新房監督に「ダメです」って返されて。
―ああ、そうですね、それはありました(笑)。
久:渡辺明夫さんに(キャラクターデザインを)やってほしいですっておっしゃっていましたね。
友:でも、そのオーダーだけは断られた(笑)。
―そういえば、オーダーとはちょっと違いますが、打ち合わせの場で、キャラソンとかも実現したら楽しそうという話で盛り上がったことがありましたね。
久:ぜひ、お願いしたい。
岩:羽海野先生がOKなら、すぐ作ります。
友:羽海野さんは全然「やって下さい!」って言ってますよ。
―では、あるのかな!?みたいな感じで、皆さんにはこちらも楽しみにしていただきたいですね。『3月のライオン』の原作の中でも、『〈物語シリーズ〉』のキャラソンの『Sugar sweet nightmare』を滑川さんが歌っていたぐらいだったので(笑)。
友:羽海野さんも、本当に好きだからね。
―それでは、最後にこのアニメを楽しみにしている方々に、皆さんからメッセージをお願いできますか。
友:もう僕の立場は、お客さんに近いものだから。アニメがすごい楽しみだよ。まあ、一言安心して下さいってことだよね。とてもよく出来ているので。(笑顔)
岩:僕も一緒ですけどね。僕の立場から見ていても、新房監督はじめスタッフの皆さんが、すごく熱意を持って取り組んでくれていると思いますし、仕上がった絵とか、いろんなものを見ていても、とってもいい感じで来ていると思うので。僕も本当にまずは、1話の完成を見るのが楽しみですね。ぜひ、皆さんも楽しみにしていただきたいと思います。
久:僕からは、ファンの代表として一番先に映像を見られるので、手応えも先に感じさせてもらってごめんなさいっていうだけですね(笑)。
―お三方が揃って手応えを感じて、楽しみになさっているというのは、『3月のライオン』ファンの人達からしても、すごく心強いありがたい情報だと思います!