3月のライオン




5 川本家とごはん

インタビュー&テキスト:
白泉社ヤングアニマル編集部・徳留幸輝
初出:ヤングアニマル2017年6号

―今回のアニメ化でより鮮明に感じましたが、川本家の日常的な食事のシーンはこの作品にとって、将棋のシーンと同じくらい大事な要素ですね。
:私自身が食べものが出てくると読んでしまうんですよ。「だるまちゃんとカミナリちゃん」とか、「ぐりとぐら」とか。子供の頃に読んだ本を思い出すと、皆食べものが出てくるものばかりだったから、きっと漫画も食べものを描いておくと、皆が親しみやすいのかなって。
:12巻では表紙にも食べものが出ていますものね。
:読者さんに「白玉いかがですか?」という気持ちで、描いてみました。一冊の中に、2回はごはんの場面を入れるようにしているんです。
:出てくるものが全部美味しそうですよね。しかも、すごく凝ったものではなく庶民的な家庭料理で、そういう素朴な味が一番食べたいなって思わされます。
:私は川本家の円卓に憧れています。まんまるだから、みんなの顔を見てお話しながら一緒にごはんを食べられるというのが、とても素敵だなと思います。

―アニメ化が決まったとき、羽海野さんと3姉妹役は、食べるのが好きな人に演じてほしいとお話した記憶があります。
:そうなんです。食べもの好きな人は、生命力があると思うんです。
:私も食べものを持ってくるのも、持って帰るのも大好きなんです。今日も皆で食べようと思って差し入れにお芋チップスを買ってきたのですが、すごい楽しくて。新房さんも、アフレコの後はごはんは絶対食べたいっていう方ですし、この現場自体が、ごはん好きの方が多いですよね。

―川本家の食卓ではないですが、アフレコの後に、新房さんと羽海野さん、都合のつくスタッフさん、キャストさんで実際に、晩ごはんを一緒に食べていますね。
:集中してアフレコをした後は、ごはんを食べながらたくさん作品に関するお話をしていますね。だから、アフレコを重ねるほど、家族っぽさが増しているように思います。

―本当にアフレコではかなり集中して、収録が行われています。
:零くんの長いモノローグの間は、本当に音を立てたくないと思いますね。当日着る服を選ぶときも、カサカサと音が鳴らないものを選ぶようにします。

―河西さんが思いがけずノイズを拾ってしまう素材の服を着ていらしたときは、脱いでタンクトップ一枚でアフレコに臨まれました。
:あれはあれでよかったです!
:あのときは、取材がアフレコの前にあって、いつもと違うシャツを着ていらしたんですよね。それがたまたま音を拾う服で、リハで全員「あっ!」となって、本番はタンクトップ姿になったんですよね。

―しかも、宗谷さんと幼少の零が、雪の中で出会うシーンという。でも作品同様、制作現場でもごはんにまつわるエピソードはたくさんありますね。
:私、花澤さんがパン好きという話を聞かせていただいてから、パンを見る度に花澤さんを思い出します(笑)。昨日も本屋さんでパンの本を見つけて、これ花澤さんに、でももう持っているかな?って考えました。
:「3月のライオン」のアフレコの前も、久野ちゃんと一緒のお仕事だったことがあったんです。一緒にフレンチトーストを食べに行ったんですけど、おいしかったので、パン好きの香菜ちゃんにも教えてあげたいから、誘って今度は3人で行こうねって言ったら…すでに香菜ちゃんは行ったことがあったんです(笑)
:私も香菜ちゃんの影響で、パンが好きになりました。香菜ちゃんは会う度に、「明日のあさごはんに食べてね」と、おいしいパンをくださるんです。元気がないときも、香菜ちゃんからもらったパンを食べると、ほっこりして笑顔になれるんです。香菜ちゃんのおかげで、パンを食べると元気になる体質になりました(笑)
:あの子達(パン)はいつでも柔らかいんですよ。だから食べると、いつでも優しい気持ちになれます。
:ちぎったときに香る、あの香りがまたなんとも言えなくないですか。
:焼きたてのパン屋さんに行くと、この子達が冷めるまでほおっておくなんて!! って店を出た直後にもう思いますよね。このぬくもりが残っているうちにって。
:駅のホームで食べるときもありますね。
:ちょっと匂いかごうかなとスーッと取り出したら、そのままムシャムシャムシャ…気づいたら、あれ、もうない?みたいな(笑)。今、皆さんと話していたら、3姉妹が焼きたてパンを買いに行って、家まで持たないという話が描けそうです。まだあんまりパンが出てくる場面を描けていないんですけど、そしたら、どこかへ届くかも!!

―おかげさまで、雪見だいふくさんやLIONさんとコラボをしておりますが、パンメーカーさんとのタイアップとか。
:3姉妹をイメージキャラクターに起用してもらって。 あとシチューもまだ描けていなくて。ハウスさんのシチューが大好きなんですが。
:シチューはバケットと食べたいですね!

―河西さんは甘いものがお好きだそうで、零くんにソフトクリームを食べている絵を羽海野さんに描いてほしいですと、おっしゃっていましたね。
:それを聞いて、漫画の中で零ちゃんが自分でソフトクリームの渦を作って、でも止めたくなくて、どんどん渦が高くなる場面が思い浮かびました。零ちゃんは倒れないよう、すごくうまく出来る子だと思います。よし、これも描こう。

―パンのタイアップも行けますし、アイスのタイアップも行けますね。
:メロンパンアイスっていうものも、ありますからね!
:これからもおいしいものとのいろんなコラボができたら、楽しそうですよね。私達、基本食いしん坊の集まりですね(笑)。久野ちゃんはどうかな?
:私も一度にたくさんは食べられないんですけど、ちょっとずつだったら、ずっと食べていられます(笑)
:まずは今度パン屋さん巡りしましょう。エスコートしますから!

―川本家のパンの回の取材のためにも、ぜひ実現していただけましたら!

▲パンを頬張る3姉妹が見られる日もそう遠くない!?

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