3月のライオン March comes in like a lion

Index

実際、久野さんもアフレコが始まって、モモちゃんを記号的ではなく、極めてリアルな子供として演技なさっているのが印象的です。

原作を読んでいるとモモちゃんってすっごくかわいいので、作品の中の位置づけ的にどうしてもマスコット的に捉えられる可能性のあるキャラだと感じました。全体を通して見たときにそのような役割もありますが、演じる私からすると、彼女も普通の人間で、毎日生きているし、呼吸もしているし、お腹も空くし、笑ったり泣いたりするだけではなく、それ以外の感情もきちんと持っているんですよね。皆と一緒に生きている、ちゃんとした一人の人間だということを大切にしたいと思ったんです。

確かに、原作がリアルで、アニメの映像も緻密に作られている中、そういうアプローチじゃないと浮いてしまった気がします。

「3月のライオン」は登場人物の感情がすごく丁寧に描かれていますよね。感情の結末ではなく、その気持ちに至るまでの過程が順を追って描かれているから、どのキャラクターにも共感出来るのだと思います。将棋の対局の場面も、自分がまるでその場にいるような緊張感でドキドキしますし。

モモちゃんも例外ではないと。元々の声質というのも当然おありだと思うのですが、久野さんは大学時代ボランティアサークルにいらして、小さい子と触れ合う機会も多かったとうかがいました。

実際に子供が出す突拍子もない声を、聴いてきたんですね。

そうなんですよ。子供がとても好きなんです。学生と子供が公園で一緒に遊んだり、夏にはキャンプに行ったりする素敵なサークルで、子どもたちと密に触れ合っていました。

そういうモモちゃんの作為的ではない子供ならではの声は、あかりさんやひなちゃんだと遠慮して零くんに言えないことを、天衣無縫なモモちゃんが伝えて物語が大きく動くこともあって、製作陣としてはアニメにするにあたって重視したことでしたが、共演者の方々の久野さんへの印象をお聞かせいただけますでしょうか。

私があかりさんを演じていて感じるモモちゃんへの気持ちと、私個人が久野ちゃんに感じる気持ちがちょっと似ているんです。

TOP 3月のライオン連載インタビュー企画 羽海野チカ[原作者]×茅野愛衣[川本あかり役]×花澤香菜[川本ひなた役]×久野美咲[川本モモ役]

TOP