原作の第1話も、零は19ページまで会話をしない
ないと思うんですけど。そのあとにも『3月のライオン』ではああいう間を使う回はありますけど、ああいった間の使い方は、やっぱり原作がしっかりしていて物語性があって、かつ新房さんとシャフトさんの作る映像が、芸術的に見る人を飽きさせないものがあるからこそ出来ることですよね。普通、アニメでは怖くてなかなか出来ないことです。
私、1話目を見たときに、最初の台詞がずっとないところは、漫画の元々の読者さんなら喜んでくれると思ったのと同時に、でも初見の人が途中でチャンネルを変えてしまったら、全部自分の責任だとも思いまして。アニメになってテレビに流れるということは考えずに、台詞のない1話目を描いてみたいって思ってやったことなので。だから、どうしようってなりました。それで12巻の書店ペーパーに、皆、おうちでお父さんがリモコン
に手を伸ばしたら、そっとこの後ネコが出てくるらしいよ?ってとめて下さいと描きました(笑)。
チャンネルをそのままにして下さったら、おいしいものも出てきますし、かわいい姉妹も出てきますし(笑)。でも、その台詞のない7分間が全く退屈じゃないんですよね。新房監督もそこに迷いはございませんでしたか。
あのままやろうと思って下さったのは? 何か入れようと思いませんでしたか。別のところから始めるとか。
新房(以下、新)今までも自分達は、極端なものしかなかったといえば、なかったですから。逆にずっとしゃべりっぱなしとか。普通に作った作品というのがないので、ない自分達がやるならありかな、と。というか、あれがまず出来ないと、『3月のライオン』をアニメにしてもダメなんだろうなと思っていました。
ものすごく地味なことをいっぱい積み上げないと成立しない漫画なので、飛び道具がなくてアニメにするのは大変だと思いますが、それをやって下さったので、とても嬉しいです。