モブシーンも滅多に作らないんですけれども。
東京駅に人がいっぱい全員それぞれの方向に歩いている場面で、ごめんなさい、でも、ありがとう!ってなりました。
閉じこもっている少年が、あの人混みをくぐらないといけないんですよね。だから、しっかりやりたかったんです。僕も人混みは苦手だから分かる気がするんですけど、あの人込みをくぐらないと将棋会館には行けないわけですよね。決意して行かなきゃいけない。ある意味、出撃のシーンなんですよね。
総武線に乗って、将棋会館に向かうときに、一回パンタグラフがパチンと火花が散って、ここで切り替わるんだなと思わされたんですけど、すごくシャフトさんっぽいなとも感じたんです。
羽海野さんがすごく喜んでいらっしゃるのは、原作を丹念にアニメにしていただいていると同時に、ちゃんと新房さんとシャフトさんの作品になっているところですよね。
ニュースを見ている零ちゃんが、
ニュースの映像とさっき自分が負かしてしまった義理のお父さんをオーバーラップさせて思い出すシーンも、私が漫画で描いたときよりすごく迫力が出ていて。髪の毛が絡まるような演出が、すごくシャフトさんだと思って、怖いシーンですけどニコーッってなりました。
1話はそういう場面もありつつ、笑えるシーンはちゃんと笑えるようになっていましたね。
漫画だとギャグシーンも当然止まっている絵なんですが、アニメだと、たとえばひなちゃんが牛乳を温めてきてあげると台所に行こうとすると、そこの闇が光って、そのまますーっと吸い込まれていっちゃったりとか、アニメならではの演出になっているのに爆笑しました。あとは、ひなちゃんが少女マンガでおなじみの花を背負っている状態だったのが、そのままその花の中に突っ込んでいって、あの花はイメージじゃなくて実物だったのか!って、少女漫画のセオリーを逆手にとっている場面があったり。スタッフやキャストの方々がところどころそうやって遊んでくれている感じも、すごく嬉しかったです。